こどもたちをこれ以上被曝させるな!福島の子どもたちを守ろう!
東日本大震災を機に発生した福島島第一原子力発電所の事故と爆発は、26年前に発生したチェルノブイリの原発事故と同じ「レベル7」の大事故でとして、1年7カ月後の今も終息することなく、続いている。
悲しいことに、日本は、福島を中心に放射能に汚染された国になってしまった。また、全地球に、放射能をまき散らす国になってしまった。
汚染されてしまった現実から、目をそらさず、真正面からこれを受け止め、今後、幾世代にもわたって起きてくるかもしれない問題を、最小限に食い止めるために、みんなの力と知恵を注がねばならないと思う。
とりわけ、子どもたちや、これから生まれてくるいのちを、また福島の子どもたちの未来を守って行かねばならないと思う。
福島第一原発の大事故で、福島県を中心に大気中にばらまかれてしまった放射性物質の総量は、昨年3月12日から31日までの期間だけで、90京(90万テラ)ベクレルとする試算結果が、本年5月東京電力から発表されている。
これは、当初(昨年4月)発表の33京ベクレルの3倍近く、また、経済産業省原子力安全・保安院が昨年6月に発表した77京ベクレルの約1.2倍で、1986年4月の旧ソ連のチェルノブイリ原発事故での放出量530京(530万テラ)ベクレルの17%にも相当する。
「ベクレル」は放射性物質の出す放射線の強さの単位ですが、1京(けい)とは、1兆の1万倍。ギリシャ語で1兆=1012のことを「テラ」と呼び、90京ベクレル=90万テラベクレル、すなわち900,000,000,000,000,000ベクレルにも及ぶ。
また、1~3号機のボロボロになった原子炉建屋からは、今も、放射性物質が大気中に放出されており、政府と東電の調査でも、今年4月時点での放出量は、なお毎時、約1000万ベクレルに及ぶとされている。
また、炉心のメルトダウンにより、原子炉の底に穴が空き、連日給水が続けられている大量の冷却水を介して、あふれ出す放射能で汚染した廃液は、地下水をまた、海を汚染し続けている。これまでに10京ベクレル以上のセシウムや放射性ヨウ素が海洋に流れ出ていると推測されている。
この継続する核汚染はいつストップできるのか、明確な見通しも立たない。
各地の衛生研究所などで、容器にたまったちりからセシウム134と137が測定されているが、文部科学省によれば。東京電力福島第一原発の事故で大気中に放出された放射性セシウムは、事故後4カ月間に福島県に降った積算値は1平方メートルあたり683万ベクレルにも達している。これは、宮城、福島を除く45都道府県の積算値の中で、最も多かった茨城県(4万801ベクレル)の168倍で、45都道府県の合計値(14万4446ベクレル)の47倍にも相当する猛烈な量である。
ばら撒かれた放性物質には、放射性ヨウ素、セシウム、ストロンチウム、プルトニウムなど、判明しているだけで31種もの核種が含まれている。
これらは、食物(食事)や空気(呼吸)を通して、体内にはいると、胃や腸や、肺胞を介して、体内に取り込まれ、血液の中に入り、その結果、主として、ヨウ素なら甲状腺、セシウムは全身の筋肉、ストロンチウムは骨、プルトニウムは肺に沈着する。
放射性物質には「半減期」がありり、半減期とは、核分裂し、放出される放射線の強さが半分になるまでの時間だが、放射性ヨウ素では8日間、セシウムやストロンチウムはおよそ30年、プルトニウムは2万4000年もの時間になる。
「直ちに害が出るわけではない」とは、事故発生当時繰り返しTVに現れた、当時の官房長官枝野氏の無責任なコメントであるが、にもかかわらず、これらの放射性物質は、内部被曝を通して、晩発性の疾患(多くはがん)の発症につながっていく。このリスクは、26年を経過した、チェルノブイリ原発事故による核汚染の被害に苦しむベラルーシの子どもたちや、住民の今なお続く悲劇の示すところである。
「除染」という言葉がむなしく思えるほど、大地も、山林も、家畜も、空気も水も汚染されてしまっている。
また、マスコミにほとんど取り上げられていないが、汚染の中で、最もやっかいで危険とされる、プルトニウムも大量に漏れだし、深刻な汚染を起こしていることは.事故から5カ月以上経ってこっそり発表された、経済産業省のホームページからもはっきりしている。
今後、喫煙者を中心に、肺がんの増加が危惧されるし、その長い半減期からくる放射線は、種々の異常を引き起こしてくるかもしれない。
事故後、新聞の片隅には、毎日、全国都道府県の県庁所在地の環境放射線量が掲載されている。事故から1年半以上経過した今年の7月22日の時点でも、 福島市は、1.00マイクロシーベルトである。環境放射線量は、他の都道府県のそれにくらべ、一桁高いオーダーで、ダントツの状態が続いている。 計算してみると、年間換算(1.00×24時間×365日=8760マイクロシーベルト=8.76ミリシーベルト)にも達する。8ミリシーベルト。 これでは、チェルノブイリ原発事故後の立ち入り禁止区域の基準である5ミリシーベルト/年を超えてしまうことになる。
国際放射線防禦委員会(ICRP)も一般人が1年間に浴びてもよい(外部被曝の)人工放射線量を1ミリシーベルト以下に定めているが、事故後、政府は、これを20ミリシーベルトにご都合主義的に緩和しようとしてきた(県民の抗議を受けて、小児に対しては、1ミリシーベルト以下を目指すと修正している)。福島の子どもたちや県民を、原発事故による放射線被害から守りぬこうとする姿勢からは、ほど遠い状態である。
その結果、まったく不十分な保障や手当もなく、報道されているだけでも、6万人もの人々が、県外に避難を続けている状況である。
原発事故がもたらす、被害についてはこれまで、国際原子力機関(IAEA)や世界保健機構(WHO)など、原発推進国側からする報告ばかりで、ヨウ素と小児の甲状腺がんの関連のみがクローズアップされてきた、しかし、福島原発事故の起きる直前にニューヨーク科学アカデミーから発刊された、ベラルーシの研究者たちの手による「チェルノブイリの大惨事-人と環境に与える影響」や、4月に出版された核拡散防止国際医師会議(IPPNW)による「チェルノブイリの健康影響」は、種々の健康被害の深刻な実態を明らかにするものとなっている。
また、マリアン・デレオという、イタリアのドキュメンタリー映像作家による、「チェルノブイリハート」(2003年第76回アカデミー賞(短編ドキュメンタリー賞)受賞)は、放射能汚染で故郷を失い、心のよりどころを奪われ、怒りと無気力におちいっていく多くの住民の姿や、低線量放射線の健康被害を遺伝的障害や.先天異常、流産、心臓・血管系の病気、神経障害、内分泌・免疫系の障害に加え、加齢の促進=老化の促進寿命の短縮など、複雑で深刻な被害の実態を映像を通して強く訴えかけている。26年前のチェルノブイリ原発事故の被害者たち、とりわけ、多くの子どもたちの被ってきた悲しく恐ろしい健康被害の現実から学ぶとき、外部被曝量だけでなく、低線量の内部被曝をさけることは極めて重要な課題になってくる。
かってチェルノブイリの子どもたちを救うために、信州大学での小児外科講師の職を辞し、ベラルーシにわたり、5年半にわたり原発事故被災地の医療支援をした医師であり、帰国後、乞われて松本市の市長となり、自らの胃がんともたたかいながら、奮闘している菅原昭先生も、子どもたちを救うために立ち上がり、「これから100年放射能とつきあうために」(亜紀書房刊)という平易で、中身の濃い本を著されている。 そのまとめで、次のように訴えている。「日本は、今後福島の原発事故を徹底的に検証し、得られたさまざまな情報を世界に広く発信すると同時に、地球規模での「原子力エネルギー政策」の方向性について、足を踏みとどめ、再考していくときが到来しているものと考えられます。さらに医療者の立場からあえて申し上げるならば、我々人類は二者択一として、「産業・経済を優先するのか」、あるいは「いのち」を優先するのか、いままさにその岐路に立たされているのではないかと・・・」。
ベビーエイジ
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